鳥海山 新山2236m北面滑降
2010/5/5
2010/5/23撮影
鳥海山北面。積雪期に見るその秀麗さは見事だ。以前だったらとても滑ろうなどとは思いもよらなかった鳥海山唯一と言ってもよいハード系バーン。中島台から延々とアプローチをして滑りおりるのが通常で、行程が長く困難なのだが一度はチャレンジしたい、ともかくも鳥海の北面側に立ってみたいとこの数年考えていた。昨年は新山から千蛇谷滑降をやったので今年の恒例鳥海山スキーをどうするか迷っていたとき、南からの滝ノ小屋起点でも北面上部だけ滑って基部をトラバースして帰ってこれるだろうと考えた。部分的な行程の報告も散見される。今年はこれだ | |
5/5快晴 6:28 1280m滝ノ小屋 7:25 1650mソロバン尾根 8:38 2050mピッケル訓練 9:19 2159m行者岳 10:10 2200m外輪山からの下降点 10:40 2236m新山頂上 11:30 滑降開始 12:40 1915m荒神ヶ岳稜線 13:45 1800m七五三掛 14:15 2005m文珠岳 15:15 1280m滝ノ小屋 16:45 665m車道 |
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起床時にはガスっていたが朝食をとっているうちにどんどんと晴れてきた。風はあるが気温も高そうで快適な春山の一日になりそう。6:28滝ノ小屋発 |
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いつもどおりソロバン尾根から行者岳をめざす。小屋裏からいきなり始まりひたすら長いトラバース登り。いつもながらつらいひととき |
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まだクラストしてガチガチアイスバーンあり急登ではクトー装着。今年からこれを全員に標準装備にしたおかげで登攀力が随分アップしたようだ |
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どうも南側は全般に雪消えが進んでいるのだろうか、去年に比べてかなりブッシュが出ていて10mほど漕ぐ。7:22〜7:25 |
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越えるとソロバン尾根。一休みし7:50出発。雪は満遍なく着いており行者岳まで一直線 |
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とはいえ徐々にきつくなる斜度。そして強い風にも負けそう |
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8:38 2050m稜線にでる前で全員到着を待とう。風が強いのでそのためのウエア準備と |
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樋口君ピッケル初購入につき訓練をしばし。もっと膝をしっかり曲げて足を上げて!これでいつでも滑落できるぞ |
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9:08そろって再出発。稜線まではわずか。去年はもっとうんと急登だった感じがするが |
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10分の登りで難なく稜線へ9:19着。去年滑った山頂からの小ルンゼというか岩の合間は滑るほど雪がついていない。いったい雪が多いのか少ないのかよくわからない |
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今日は一日晴れそう。予定どおり新山をぐるっと回ってこの下、右手からの稜線をこえ七五三掛に戻ってくる。よく見ておこう |
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9:44稜線発 |
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時折り風に煽られる岩の稜線歩きに苦労 |
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雪がある時には外輪山から直に滑り下りれる唯一の小さな窓。この存在は知っていたが今まで滑れる雪はついてなかった。今日はアイスまじりだが歩いて下るよりはずっと安全でおもしろそう。せっかくの機会だから行ってみたいなあ。実際ひとり若者が滑らんと準備してる。しかし見ると行くべきところは左上部の七高山直下の雪稜。誘惑に負けて滑ったらかなり登り返してしまう。断念 |
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10:28ピッケルで外輪山から慎重におりるも今年は今さんが滑落。下には岩も出ておらず底があるので心配はないが歩くには難所。スキーの方がいいのにと勧めたのに |
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ワシだけ岩の下からスキーで一気に。わずか数メートルの滑りでも装着の手間が面倒なんて思わない。せっかく滑れるところは滑らないではいられないし安全第一なのだ。うっすらの新雪で気持ちよい滑走。右手にはさっきの窓からのシュプール |
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新山への登りもなんだか今年は緩くてわずかだ。それだけ多く雪が吹きだまっているのだろうか |
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七高山を見ながらいつしか風も弱まってきたのでのんびり春山登山を満喫しよう |
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10:40新山登頂。今年も絶好の日和に登頂成功。自身の記録では鳥海山の晴天率は無雪期には1割以下だがGW後半はいつも最高。去年につづき最高の日よりでの登頂をはたせた |
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こちらが滑降予定の北面エントリ部。かなりの急斜面で普通には先が見えないので岩の上から乗り出してのぞき込む。しっかり雪がついている。青氷がところどころ残っているが、大丈夫みんなで行けそうだ |
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北面大斜面を一望。右手から岩の島の下あたりまで急斜面部分だけ滑降し |
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そして左へ台地を延々トラバース。行ったという記録は見たもののはたして今日ブッシュや谷を突破できるかどうか。斜面を見る限りまっさら。連休に誰も入ってなかったのだろうか。自分でルートを見つけるしかない。天気とGPS頼みだな |
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1900mくらいまで北面を滑りおりたら、トラバースするつもり |
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新山頂上から雪が手前の北面エントリへ続いている |
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11:30いざ飛び込む。今年も鳥海山頂上からのダイレクト滑降だ。良いザラメのオープンバーンは斜度があっても全然怖くはない |
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続々とカモンだ |
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時々亀裂もあるからスピードだけはしっかり抑えて |
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東北の山の雰囲気ではない。まるで立山 |
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こちらの外輪山(七高山)との間から滑り出してるのが多いようだが、頂上からに比べるとこれでも傾斜はかなり緩く安全策だろう。だが雪さえよければ断然頂上からだ |
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ずっと下までなら800mの落差ある一枚バーン。しかも急勾配が連続 |
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また本日もワシらだけのプライベートウルトラゲレンデだ |
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サイコーっす |
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一部重めの雪もあり、しかしまた途中から滑る雪質に変化 |
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一向に緩まない急斜度 |
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トラック解析すると平均斜度で34度くらい。わずかなターンでどんどん標高が落ちていく |
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快適滑降で1900mまで降り岩の下まで来た。そろそろトラバースだ 11:40 |
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北面台地は雪が途切れているので単純トラバースではすまないだろう |
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目標の七五三掛に向かって高度を落とさないようにと |
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11:44やはりヤブに妨害されストップ。どうにか降りれる箇所をみつけスキーを担いで強引に行ったが雪面にでたところで樋口君滑落。滑落停止技術を使う間もなく途中の樹で停止。事なきをえた。樹に引っかかる樋口君の図 |
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さらにトラバースで頂上からの北西斜面を横切る。まっさらで美しい。鳥海山は東西南北ともすごい斜面が広がっているが、北方面はこんなにも人が入らないものかとびっくり |
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真横移動も次のヤブに阻まれ限界。1750mまで高度を落としてしまった。いったん登り返して雪が連続する所へ上がろう 12:13 |
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荒神ケ岳への稜線をこえれば千蛇谷へ滑りこめる。登り返しはトータルで160m。わずかだ |
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わずかなんだが最後の急斜面はぐさぐさ雪での斜登高。足場が脆くて疲れる |
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12:40登り返しをおえ稜線をのりこえると千蛇谷と七五三掛をのぞめる位置に。もっとも心配だった第一関門初ルートを通過しホッとする |
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13:00千蛇谷へ軽く滑降 |
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頂上を望む |
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そしてこれからが最大の難関七五三掛だ。これまで積雪期に肝を冷やさないで通過できたためしがない。スキーをいったんきちんと担いで万端備えたはずが、登りはじめいきなり夏道をおおった雪がまだ完全に凍っていてストックが刺さらず早速ピンチ。ピッケルを出すべきだった |
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ワンポイント登っただけでスキーに切り替えてトラバース滑降。急斜面では途中で止まらず一気に滑り抜けること |
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その次はわずかに登りぎみ。スキーをいったん外してシールとクトーを装着 |
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一歩一歩進む緊張のトラバース。50度超えの斜面 |
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奈落はこんな感じ。落ちたらけっこうなとこまで行けそうだ |
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樋口君、最後の最後の一歩でバランスを崩し危うく転げそうになる。ここで落っこちたら死にはしないが死ぬほど精神的ダメージは大きかろう。千蛇谷を下まで滑り登ってきたスキーヤーの足跡も。そっちが安全策だろうけど体力温存したいし |
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13:35というわけで全員七五三掛無事通過。もうここまでくれば今日中に生きて帰れる |
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しかし最後の試練が残っている。文珠岳へ200mの登り返し。夏道沿いに直登を行っちゃったが、雪がついている右側を迂回し緩斜面を登った方が楽そうだった。トレースはみんなそっち側だった |
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100mを登るといったん下りぎみに行ってもう100mの登り。これで最後だと思うと一気に疲れも出てきてきついものだ。ポカポカ陽気で下界では28℃もあったらしい |
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14:15やっと文珠岳を登り切る。新山がまた出現 |
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振り返ると鳥海湖の斜面で遊んでるグループも。それぞれがスキーや春山を謳歌 |
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14:44発、エントリポイントまで稜線を移動し |
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滑り出す |
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ここからはワイドでロングな緩斜面。どう滑ってもかまわない |
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滑りにくい雪も混じるがあまり気にならずスキーを走らす |
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月山森と小さく写る河原宿の小屋 |
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例年何も考えず自由に滑ってこられた斜面だったのだが |
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至る所に落ちてる小鳥の死骸。これらを避けながらターンしなくてはならなかった。いったい鳥海山で何がおこったのか?鳥怪山? |
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稜線から20分ほどで800m滑降を終了し滝ノ小屋到着15:15。本日15kmの周回コースだった。これほどまで最高の天気が続くとは出発時からは想像できなかった。小屋番す〜さんからビールとお疲れ様との置き手紙が。当然のごとく南極カレンダーの1枚が使われていた |
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さよなら滝ノ小屋。15:45発 |
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滝ノ小屋直下の沢に落ちる気持ちよいバーン。右岸に上がって宮様コースをきたとおりに下る |
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さよなら鳥海山。一日たっぷりと楽しめました |
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16:03ツリーランも快適に、宮様コースを終えて車道817mに |
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16:45小屋から1時間。林道は2回ほど外して数十m歩いたがほとんど車までスキーにて到着 |
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北に張り出した高気圧のおかげで完璧な快晴が丸々一日続いた奇跡のような一日に、念願の斜面を含め北と南の2大斜面を滑りまくり充実感いっぱいの鳥海山でした |
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