裏巻機渓谷〜割引岳1931m巻機山
2010/8/22(ワシ、ハッシー)
巻機山はメジャーな井戸尾根以外はすべてハードコースだ。その中でも裏巻機からは長いのと急峻なのと危険さで最難関ともいえる。一般道にはなっておらず登る人はマレであろう。ネットでみるかぎり記録もほとんどない。牛ヶ岳に登る旧道は30年前に登ったことがあるが今回はその後に切り開かれ割引岳へと至る新道を行ってみることにした。巻機のコースのうち登っていない最後のルートでもあるのだ。しかし今年は異常な猛暑がお盆すぎから勢いをまして続いており、本来ならこんな気温で越後の低山など登るべきではない。実は前日現地で六日町高校の同級会だったのだ。30年前にはその同級生とほぼ同じ日に登っていたのであった。なんとなく思い出して六日町に来たついでに、と思って登ってみたが、やっぱり今年の夏は地獄だった。 | |
車を一台清水にデポ。そうでないとまたこちらにおりてこなければならない。通常は1泊2日の登りだけで10時間コースタイムに加え、道も険悪なのでそれはできない。今回都合良く二台車がつかえることになったからこそこのコースを行ってみることに決めたのだった。5:40五十沢キャンプ場ゲート標高300m発。 |
昔はキャンプ場手前の発電所から直登だったが、初めての道で延々舗装道を歩く。コースタイムで30分は余計にかかるがまあ朝のウォーミングアップにはちょうどいいか、とこの辺は余裕で。途中この看板から裏巻機渓谷の下道ルートが分かれる。今日は整備のよい上道からいってみるのでさらに舗装道を登る |
八海山の勇姿 |
牛ヶ岳が遙かに遠く |
6:29やっと遊歩道、上道の入り口へ。すでに汗かいた。今日も暑そうだ |
割引岳の登山道は、ここからコースタイム52分の小滝沢をすぎたあたりだ |
行ったことないが蜀の桟道のようだ |
こんな道よく作ったものだ。30年前もそうだったかなあ |
見所の多い裏巻機渓谷は紅葉の時期なら最高だろう |
ほとんど水平道。危険な所はほとんどなく早歩きでいく |
30分ほどで小滝沢をこえ7:00割引岳への登山道。どこがそれなのか、道と言っていいのかどうかというくらいの貧相な岨道。ここから割引岳までは7時間のコースタイム。まず標高580mから1000mまでひとつ尾根を乗り越していかなくてはならない |
いきなりの激急登。アルプス三大急登など目じゃない。トラ縄があるがステップなし。それがずっとつづく |
なるほど稜線に出るまではホント最近新しくつけた道なのだ。踏まれてないわけだ |
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900mあたりまで登ったら展望が。たぶん右のピラミダルなピークだ。急登と暑さと無風状態のため登りがはじまったばかりだが熱中症寸前。絶望的な遠さにリタイアさえ考えたくなる |
ちょっと下りがあり小さな沢に。ここで冷たい水がえられてホント一息つけた。7:51再出発しまだ急登あり |
地獄のアルバイトで稼いだのに850mまで下らなければならない。しかもこの下り道は転落事故も多い急下降。岩も滑るし草付きトラバースも多い |
それでもこんな奥深いところに河原が広がる大窪沢は今までの道のりからは桃源郷のようだ。たっぷり水を補給していこう |
8:27発。あとは頂上まで1100m一気登り。体力勝負だけ |
しかしまたもや超急登つづき。まあ沢から稜線に出るまではしかたない |
9:18 1270mの稜線にようやく飛び出す。ここまでも展望なしの地獄急登で、もはやまったく余裕なし。曇って来て涼しくなったらやっと空腹感がでてきたがなかなか休む場所がない |
それでも稜線でいったん休憩し身体を冷やす。脱水のせいで両脚がつる寸前だった。昨日の飲み過ぎが絶対にきいてるな。その後は稜線沿いに展望はよくなるが急登は一向にやまない |
1500mをこえると急に笹藪がひどくなってきた。さらに障害物が加わるのかと気が重くなりながらも登り続けていたら機械音が上部から |
なんと刈り払い中だった。今日中に全部刈っておくからねとおじさん二人で作業。朝5時に登ってきたそうだが、その足で作業してまたここを下るのかい。すごすぎるパワー。だってこの道一年に何人通るかというところだよ |
しかしおかげで元気をもらった。先はまだまだあるが登れるぞ10:17 |
ガスも晴れて巻機らしい展望。真ん中のとがってない方が割引岳。気持ちよいふかふかの稜線に腰をおろして最後の休憩としよう。1700m |
牛ヶ岳方面 |
割引岳へは最後まで急登がひかえてるが途中の草原が美しく、涼しくて展望さえあれば一足だ |
最後の力をふりしぼって。でも変に力を入れてしまうとすぐに脚がつりそう |
あとひとつ越えて |
最後の登り |
11:04やっと登頂。登山口からは4時間、下からは5時間半でしかなかったが今年一番、激しく疲れた。午前中に着けるとは思わなかった |
あとはお気楽な道。巻機へ |
展望なし。飯をくったらいつもの井戸尾根をさっさと下山だ |
池には草がたくさん |
しかしよく登ってきたなあ。最初の段階ではどうなるかと思ったが。なんとか巻機の全コース制覇。達成感よりも疲労感いっぱい |
累積登高2100m、沿面距離17.5km、魚沼市最高気温35℃ おそらくこのコース、新潟県内で単独の山に登るための道がつけられているところでは最難関だろう。 4合目大窪沢まで急登と緊張、その後登り一辺倒で標高1400mくらいまで展望もなく休む場所もない。ステップもロープも本当に必要なところには一切ない。しかもアブ攻撃付き。 静かなのと巻機の本来の雄大さが感じられるのがこのコースの存在意義かもしれないが、いったいどれだけの人が利用しているだろうか? 紅葉の時期なら裏巻機渓谷の景観もすばらしく、また印象が違った山行ができることだろう。 追記:翌朝まったく筋肉疲労なし。まだまだ登れたなあ。疲れの原因はほとんど飲み過ぎと熱中症による脱水だった。最後にバテ気味でゆっくりペースになったから体力温存できたようだ。県下では猛暑下での運動禁止令(!)が出ているさなか、熱中症で医者が遭難するわけにはいかない。充分な水分と電解質を補給することと、そもそも猛暑日に登山したいならばもっと高いところへ行くべきだ。越後の山は雪と紅葉を目的にしたほうがよい。でもやはり巻機は故郷だな |